イラスト不要で作れる表紙デザイン掲載の本『魅せる!同人誌のデザイン講座 Before-Afterでわかる試したくなるアイデア&テクニック』
物書きにとって、表紙やお品書きなどのデザインは同人誌作りにおける最難関のように思えます。
やっと本文最終稿が上がった! と思っても、入稿するまでに表紙を作らねばなりません。イベント前にはお品書きを作ります。もっと前にさかのぼると、イベント参加の申し込み時点でサークルカットを提出しなければなりません。
同人活動において、デザインは切り離せない要素。しかし全くのゼロから作るのはかなり大変。
少しでも参考になる書籍はないか探して手に取ったのが、『魅せる!同人誌のデザイン講座 Before-Afterでわかる試したくなるアイデア&テクニック』でした。
漫画本や小説本の表紙、本文ページ、おしながき、ポスターなど同人活動に必要な作例がたくさんありデザインのヒントになる本を目指しました。
デザインをこだわることによって、新刊がお気に入りの一冊となり、楽しい同人活動の一助になればとても嬉しく思います。
この本の特徴は、
- 同人誌、同人活動に特化したデザイン本である
- イラストを使ったデザインはもちろんのこと、イラスト不要のデザインについても多く取り上げられている
- 印刷所で本を作るために必要な知識が載っている
ところ。
作例が豊富なので、見ているだけでもイベント前のようなワクワク感が得られる一冊です。(実際に作る段階になったらそんな悠長なことは言っていられませんがね……)
ここからは、本を読んで印象に残ったところをピックアップして書いていきます。
第4章「イラストいらずのアイデア&テクニック」
この章にはテキストや図形を使ったデザインなど、イラストを描かない人でも作れる表紙デザインが載っていました。
同人誌のデザイン本はイラストありきが多い印象なので、「イラストいらず」は嬉しい。
以前、本書に掲載されていたデザインをPagesで再現しました。
なんのアテもなくデザインを作るのは難しいですが、本書があれば真似するだけ。
図形だけのデザインと言われても想像しにくいし、どうやって配置すればいいのかわからなくて手が出せなかったので、読んでみて「なるほど、こうやってできているのか!」と勉強になりました。
おかげさまで、「イラストが描けないから凝ったもの作れない……」と落胆せずに済みました。
図形が使えるアプリなら同じようなことができそうです。
第5章「紙面デザインのアイデア&テクニック」
この章では本文ページのレイアウト例が紹介されています。扉ページのデザインアイデアもあります。
写真加工が不要の簡単なデザイン案もあり、活用しやすそうでした。
章末のコラムに明朝体の比較があるので本文のフォントを決める参考にもなります。
フォントによって見た目の印象が変わるので、自分の作風に合うお気に入りのフォントを見つけるのは重要。私は今は「源暎こぶり明朝 v6」というフリーフォントが好きで、自分の作風にも合うのでよく使っています。
旅行記などの写真をふんだんに使うレイアウトのデザインもありました。同人誌と一口に言っても、漫画や小説だけではないですものね。
メモアプリに書き留めているだけの旅行日記をまとめたいなぁと考えていたので参考になりました。
第6章「サークル情報のアイデア&テクニック」
この章ではお品書きや帯、サークルロゴのデザインが紹介されていました。
私はお品書きに情報を詰め込みがちなので、本書で紹介されているシンプルなお品書きは参考になりました。
シンプルにするのって、詰め込むより難しくて。
小説本しかないお品書きなら「表紙」「タイトル」「本のサイズ」「ページ数」「金額」「新刊or既刊」がわかれば良くて、詳細はサイトやSNSに載せておけば良いんですよね。
それなのにあらすじも入れたくなって、結果的に文字サイズや表紙の画像が小さくなって見づらくなる……ということが私は多いです。
お品書きを作るときは毎回本書を横に置いて、自分を律しながら作りたいと思います。
その他の感想
本書ではデザインに必要な道具としてAdobeのIllustrator、Photoshop、InDesignが例としてあげられていました。やはりデザイン関係で真っ先に名前があがるのはAdobeソフト(アプリ)なのですね。
本書では続けて「物足りなくなったら有料ソフトを検討してみましょう」と書かれていました。
日常的にデザインをしない物書きにとってAdobeは完全にオーバースペック。簡単な機能すら覚えるのが大変なので、初めから手を出すと挫折しがちです。(経験済み)
簡単な機能しか使わないのであれば、Pagesでもデザインを作れました。無料で使えるCanvaというデザインアプリもありますね。
入稿用のデータ形式に対応・非対応にもよりますが、ある程度までは無料アプリで事足ります。表紙がPDFで入稿できる印刷所なら、ほとんどのアプリで問題ありません。
もっと便利に、より多くの機能を求めたときに有料アプリを検討すれば充分だなと改めて思いました。
まとめ
普段デザインに触れない物書きにとっても、たいへん勉強になる本でした。
趣味をのんびり楽しむには、手軽に取り入れられるところから小さく始めるのが良いですよね。
本書を参考にすれば、手軽に、凝ったデザインも楽しく作れそうです。