令嬢ものを書くときに取り入れたい本『改訂版 お嬢さまことば速修講座』
最近、令嬢もの作品にハマっています。
読んでばかりで書いてはいないのですが、書くときのために言葉づかいを知っておきたいと思い、Kindleで見つけた『改訂版 お嬢さまことば速修講座』を読んでみました。
こちらはKindle Unlimited対象書籍です。
本書は、フォーマルな場などでのきちんとしたものの言い方の手本としても、十分にお役立ていただけるものと思うが、かといって、あまりストイックに学んでもらうのもちょっと困る。会話はゲーム、人生はエンターテイメント! あなたのことばづかいのレパートリーに、お嬢さまことばも加えて、ご一緒に楽しんでいただければ、嬉しい。
お嬢さまことばで意図的にくどいほど句点が打たれた文章はとても新鮮でした。
読み始める前は「堅苦しいかな」と思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。実用書というよりも、一人語りの小説のような雰囲気です。
タイトルに『速修講座』と書かれているだけあって具体的でわかりやすい。「お嬢さまことば小辞典」が載っているので言い換えをすぐに検索できるのはありがたいです。
この本ではお嬢さまことばが学べるわけですが、それを覚えて表面上言えるようになればいいと言っているわけではありません。
お嬢さまことばはあくまで「ことばづかい」という道具の一つであり、大切なのはお嬢さまことばを通して気品を培う基本を知ること、「ことば」「ことばづかい」の意識を身につけることだと言っています。
自分の「ことばづかい」について深く考えるいい機会となり、読んでよかったと思えました。
お嬢さまことば、ことばづかいを学ぶ際はぜひ一度、読んでみてください。
ここからは本の感想と、特に覚えておきたいと思ったこと、お話や日常生活にどう取り入れるかについて書いていきます。
「ことばづかい」について
その人の価値観、所属する層を表示するものであると同時に、その人が無意識のうちに自分とまわりを欺くために用いられる道具でもある。
その人が、どういう価値観をもつ、どういう層に属する人間であるかを示すひとつのレッテルとなる。
ピシッと身なりを整えている背筋の伸びた人でも、粗雑なことばづかいだったら印象悪いですよね。(身なりを整えて背筋を伸ばすような人はことばづかいもキチンとされている気がしますが)逆に少し頼りなげに見えても、洗練されたことばづかいをしていたらこの人は大丈夫だと思えたりします。
場にそぐわないことばづかいは無意識からくるもの、つまり相手のことを考えずに話している。洗練されたことばづかいは相手を意識して考えて話している。そんなふうに受け取れるからでしょうか。
ことばづかいが与える印象はとても大きいのだとわかります。
第一印象は見た目で判断するしかありませんが、その後の印象はことばづかいや立ち居振る舞いで変わってくるもの。相手にどう見られたいか、どんな印象を持たせたいのかを意識的に考えてことばをつかえば、ある程度は意図した通りに操作できるのですね。
気をつけなければいけないなと思ったことは、ことばづかいは、あくまで道具なので、悪意を持って人を傷つけるために使われることもある、ということ。悪事へ引き込もうとする人ほど上手いことばづかいをするらしいですね。
相手の言葉の裏を読み取る力を養うためにも、適切なことばづかいは身につけておくべきだと思いました。
「お嬢さま」の定義
気品と意識をもった女性をしてお嬢さまとする
〜中略〜
年齢的には、少女からそのおばあちゃままで、ほとんどすべての女性を対象としている。
「自分と他人、物事を肯定的にとらえ」「相手の立場と位置を尊重し」「公私の区別を明確にもち」「状況に応じた的確な表現を試み」「自分のことばに責任をもって」、美しいことばづかいをたしなもうとするならば、
その表情は、自ずと、穏やかでありながらも、凛とした、気品あるほほえみを伴うものとなることでしょう。
こうして生まれる「ほほえみ」こそが、「気品」のもっとも重要な要素です。
思い返すと、令嬢ものの作品で令嬢然としているキャラクターは、この定義にピッタリ当てはまります。どのキャラクターも気品と意識をもち、「ほほえみ」をもっていました。
内面が出来上がっているから、相手を叱咤する場面でも気品が保たれていました。
気品のある人は、そこにいるだけで、こちらまでシャキッと背筋が伸びるような空気を感じます。
昔からそういう人に憧れていました。
年齢に関係なく意識して努力することで身につけられるとわかったので、少しずつ気品を培っていきたいです。
『改訂版 お嬢さまことば速修講座』の取り入れ方
お話を書くとき
- キャラクター作成…ことばづかいだけでなく、立ち居振る舞いの参考に
- ことばづかい…第3部「お嬢さまことば小辞典」を参考に
「お嬢さまとは」について懇々と説かれているので、令嬢ものに限らずお嬢さまのキャラクターの容姿、立ち居振る舞い、ことばづかいの参考になります。
ことばづかいに関しては、第3部『お嬢さまことば小辞典』が場面に応じたことばを検索できるので便利。類語辞典のような使い方ができそうです。
日常生活
- プライベート…お嬢さまことばを意識する(気品と意識を身につける)
- ビジネスシーン…場面にあった適切なことばづかいをする(意識をもっていれば身につけた気品は損なわれない)
この本ではお嬢さまことばを通じて気品と意識を身につければ、シーンに合わせてことばづかいを変えようと、どんな状況でも気品が漂う人になれると言っています。
相手に媚を売るのではなく、誠実に向き合い良い印象を与えられるのは、人間関係を構築する上で大事なことですよね。
たとえお嬢さまことばそのものを使わなかったとしても、「お嬢さま」の定義を意識することによって、適切な自己肯定感をもち、他人と適度な距離感で関われる人になれそうです。
本書は、「ブティックやレストランで大きな顔をしたい」という、担当編集者の単純かつ不純な動機から生まれたものである。
この担当編集さんの言っていることは共感できます。大きい顔というか、恥をかきたくないですね。
今までは「私はそういうところに行かないから」と気にしていなかったですが、本を読んだら「教養の一つ」として身につけるべきだと思えました。
習得するには時間と労力が必要ですから、思い立った今から意識改善していきたいです。
まとめ
『改訂版 お嬢さまことば速修講座』はとても興味深い本でした。「ことばづかい」そのものに対する理解ができ、「お嬢さま」と呼ばれる人の気品をつくる要素について知れて面白かったです。
お話を書くときにはもちろんのこと、教養の一つとして取り入れたい「お嬢さまことば」の本。
Kindle Unlimitedで読めるので、気になった人はぜひ読んでみてください。